東京の水辺の可能性:クルーズ船の経済効果を高めよう – 2

【東京の水辺の可能性:クルーズ船の経済効果を高めよう – 1】より

さきの投稿では官民が連携して世界の流れを活かして成長軌道に乗ったクルーズ船観光産業について説明した。ただ官民といっても、民が旧来のクルーズ会社だったりと、プレーヤーの多様性に欠ける部分があるのも否めない。

是非若いベンチャー企業達に、このクルーズ船に着目して業界を盛り上げて欲しいと思うし、その魅力がある市場であることを強調したい。

クルーズ船は「同時に」「数千人の」「観光需要が発生し」しかも「高級志向が強い(単価が高い)」という特徴があるサービスす商品である。

そしてクルーズ船乗船経験が2度3度というリピーターも増加しているため、クルーズ船側が用意するオプショナルツアー(エクスカージョン)を避け、自ら地元の観光事業者やコンテンツを検索するという行動も増加している。つまり寄港地でのビジネスチャンスが増加しているのだ。

オリンピックにあわせてリオに寄港したクルーズ船。大型イベントの際は数多くのクルーズ船が関連商品を開発する

成長する観光産業の中でも特に高い潜在成長性をもつクルーズ船市場に対し、国や自治体の施策は進みつつある。そしてこの先の結果を達成するためには、民間の力が必要である。

是非、野心を持ったベンチャーの方がクルーズ船市場の魅力に気付いていただいて、日本観光の満足度を高め、産業の成長を先導して欲しいと思う。

しかしながら客数が増えるだけで十分かというとそうではない。先日スペインバルセロナで、増加する観光客に嫌気のさした住民による反観光デモが行われたことが報じられた。

この問題は、客数に注目しすぎて、地元の生活も含めて観光地の価値ある姿を維持できるだけの売上をあげられていなかった、客数増加によるコストだけが地元にのしかかった「観光公害」に大きな原因がある。


ロイター 欧州の人気観光都市で高まる住民の反発、対策求める抗議デモも
https://jp.reuters.com/article/europe-tourist-angry-hotspots-idJPKBN1AN0HF

京都でも観光客数の増加に街も観光地も耐えられなくなりつつある

こういった不幸な事態を無くすためには、域内への観光客数の制限や、観光客一人当たりの消費額/利益を増やすことで環境を維持するといった必要である。

これまで日本は観光後進国として客数の増加にのみ注力していれば良かったが、これからは観光地の地域的分散や一人当たり単価など営業の質の向上が必要となってくる時期だ。

注:本投稿のリンクや利用した資料は、2017年8月29日時点で確認したものである。