年末のご挨拶

7月レポート

「2020東京大会、競技日程が決まる」

 延長国会の最終週は日本全国を猛暑が襲い、熱中症による死亡者まで出て大変厳しい気候が続いている。暑さ対策の根本的な見直しが求められている。公教育の現場におけるクーラーの設置など、子供たちの安心安全を守る対策も早急に行わなければならない。

 2年後のこの時期に2020東京大会がやってくる。東京大会における暑さ対策の準備も進んでいる。その中で最も重要なポイントが、競技スケジュールである。アスリート、レフェリー、ボランティアスタッフ、観客等全ての面々に影響を及ぼす。屋内競技であれば、駅からの導線、会場周辺の対応が求められるが、公道などを使用するマラソンやトライアスロン等はレースの時間帯設定で対応するしかない。公道を利用する競技の主なレース時刻は、50キロ競歩-午前6時、マラソン-午前7時、トライアスロン-午前8時等、気温の上がらない早い時間が設定されている。

 競技日程は、暑さ対策以外にも工夫がされている。 全体のスケジュールを見渡すと、大会前半から競技が開始され終盤にかけて盛り上がりを見せるチーム競技・団体スポーツは従来の大会通りだが、日本のお家芸とされる卓球・レスリング・バドミントンなどメダルマッチの決勝戦が日程上重ならないように調整されている。特に8月1日(土)は多くの競技の決勝が行われ、日本勢のメダルラッシュが期待される。

先日、国立競技場建設現場がメディアに公開されたが、施設・ハード面の準備は順調のようである。しかし、ボランティア確保、駐車・バス手配など輸送に関するオペレーションにはまだ不安が残る。バスケットボールやバレーボールなどは、試合設定が午後11時、午後11時半等日本の生活習慣からは若干遅い時間設定をされており、公共交通機関との連携が必要となるだろう。暑さ対策と合わせて、多くの方が参画できる安心した大会を目指していく。

スポーツ立国調査会申し入れ
日韓サッカー外交
日韓サッカー外交

「内政・外交国家ビジョンセミナー」

7月31日、参議院自民党政策審議会による、中長期的視点にたった政策を示す国家ビジョンセミナーが開催された。この前段には参議院自民党政策審議会が約1年をかけ議論し、参議院の独自性、国会での役割をより明確にする意味もふまえ、本年5月に「内政・外交国家ビジョン」を取りまとめ政府へ提出した背景がある。

この国家ビジョンをより多くの国民の方へ周知を図り、特に、若者・女性・高齢者の方へ広く普及を図るため、本日、初の試みとしてセミナーの開催に至った。冒頭、武見政審会長からのあいさつでは、セミナー参加者全員に向け、国家ビジョンを共有し、一緒に日本の未来を築いていこうという力強いメッセージが語られた。以降、出席した若者の代表者から、教育政策、女性省の提案、高齢者医療の課題、外交、和僑といった多岐にわたる意見が発表され、出席していた国会議員も意見の鋭さに舌を巻いていた。その後、片山さつき議員から内政国家ビジョンの説明と質疑応答、山本一太議員からは外交ビジョンの説明と質疑応答が行われ、国会議員と直接意見交換のやり取りができるとあって、多くの意見が交わされた。

 少子高齢化、人口減少、緊迫する東アジア情勢などの大きな社会課題を乗り越え、我が国を守っていくことが政治の大きな役目である、と各議員から意見が上がっていた。そこで私が感じたのは、この国家ビジョンの共有、実現の前提として、まず日本人としてのアイデンティティを自覚することが重要であるということである。私はスポーツを通じて世界中を渡り歩いた。そこでの経験で最も大きかった点は、自分は日本人であるという自覚の芽生えと、日本は世界の中の一つの国であるという視点である。自国という概念、日本人であるという自覚を理解することが、今の日本に特に欠けているのではと私は感じてるし、まずこの点を理解したうえで本国家ビジョンの議論に入ることが良いと思う。

今月のワールドカップサッカーを思い返してほしい。日本代表の活躍する姿に多くの国民が勇気づけられ、勝利する姿に誇りを感じたと思う。まさに、世界で活躍する日本、日本人というアイデンティティをより明確に映し出しくれるのが、スポーツのシーンでもある。もちろんスポーツに限らず、留学や、旅行等、現在は比較的安易に海外へアクセスでき、情報を得ることができる。また、日本というアイデンティティに限らず、出身地、出身校などの個人の生い立ちを大切にすることも必要であると思う。今自分がどこにいるのか、立ち位置を知ったうえで自身の考えや進むべき方向が見えてくると思っている。我々政治に関わる者は、国民一人ひとりの未来を切り拓かなくてはならない。今回のセミナーを通じ、大いに議論し、そしてこの国を前へ進めていきたい。国家ビジョン2018を契機に、参議院自民党としても新たなチャレンジをしていく。

「国家ビジョン2018」:武見敬三政審会長HPより

http://www.takemi.net/vision2018.html

「受動喫煙対策法が成立。タバコフリーの2020東京大会へ」

7月18日、参議院本会議において、賛成多数をもって健康増進法の一部を改正する法律、いわゆる受動喫煙対策法が成立した。受動喫煙を原因とするがん・脳卒中・心筋梗塞などの医療費は年間3000億円を超えると言われている。この法律により医療費が削減され、社会保障の充実につながることを期待したい。

今回の法改正による規制を記しておく。

  1. 学校・病院などの公共機関は屋内完全禁煙
  2. 会社・大手飲食店・新規店舗の原則屋内禁煙(喫煙専用室での喫煙可)
  3. 小規模(面積100平方メートル以下)の既存飲食店は、喫煙か禁煙かを選択し店頭に表示義務

以上の規制を設けて前提として20歳未満は喫煙室、喫煙可能な店への立ち入りは一切禁止であり、違反者に対して罰則を規定している。そして運用のスケジュールは3段階で行われる。

2018年   国と地方自治体が受動喫煙防止の周知・啓発
2019年夏  病院・学校・行政機関など屋内全面禁煙
2020年4月 全面施行

となっている。これら受動喫煙防止対策は一定の評価はできるものの、WHOの定める受動喫煙対策の格付けでは、日本は世界最低ランクであり、まだ規制強化の余地は十分にある。東京都の条例によって都内における受動喫煙対策は強化されることになるが、国としてもタバコフリーの東京大会を目指し、受動喫煙対策の規制強化を今後もしっかりと進めていく。

ワールドツアーお台場大会

超党派「チーム学校推進議員連盟」の設立

我が国の社会や経済の変化に伴い、子供や家庭、地域社会も変容し学校現場に関わる課題が複雑化・多様化し、学校や教員だけが課題を抱えて対応するのでは十分に解決できない課題が増えている。一方、学校が、多様な地域人材と連携・協働して、家庭や地域社会を巻き込み教育活動を充実していくことは子供たちにとってとても大切なことである。

これらを背景に、平成27年頃から「チームとしての学校」体制を創り上げるため、与党内で審議を進めてきた。解散総選挙により休止状態となったが、昨年度より議論が再開され、今回、議員立法を目指し超党派による「チーム学校」を推進する議員連盟が立ち上がった。

設立総会には全政党・会派から議員が出席し、前向きな意見が交わされた。「チーム学校推進法」の主な目的は、学校教育の水準の維持向上と、学校の関係者が児童に対する教育に、自主的かつ積極的に取り組む地域社会の実現である。

具体的な施策として

  1. 学校の現職員と専門知識等を有する者が、校長の監督のもとに校務を分担し、それぞれの知識、技能を十分に発揮し、連携・協働する
  2. 学校運営に多様な主体の協力を得て、学校の直面する諸課題に対応し、学校の教職員と学校の関係者の連携・協働を促進する
  3. 全ての学校関係者が教育における役割と責任を自覚し、自ら学校をめぐる課題に取り組む知己社会の実現

以上が立法の骨子であるが、私自身も小学校三年生、一年生の父親であり、学校との関わりは深い。そこで見えてくるのは、先生方の負担の複雑化、IoT教育、シルバー人材の活用、学校と地域の関わり等、時代の変化とともに私自身の小学校時代とは大きく様変わりしている。議員立法は、教育の質の向上を目指し、学校外部の人材を有効活用し、教員の負担を下げ、その解決に向け、教職員の定数増、スクールワーカー、スクールソーシャルワーカーの配置、サポートスタッフ、部活指導員の配置など、既に進行している各施策をより後押しするべく、「チーム学校」の整備を目指していく。

全国政令市議員研修会

IR実施法案

カジノを含む統合型リゾート施設実施法案、いわゆるIR実施法が成立した。本法は安倍政権の経済成長の柱として期待されている。平成11年にカジノ構想を掲げた石原慎太郎氏が東京都知事に当選した頃に端を発し、自民党内でも議論が進み、安倍政権によってようやく成立にたどり着いた。

 これまでの国会では幾度となく、成立が見送られてきた。民意の中にギャンブル依存症対策・カジノ機能の実効性への懸念があったためである。そのため、今国会では与野党内で丁寧な審議が繰り返された。

 IR実施法はカジノに注目が集まりがちだが、IR法設置の本来の目的は、大型展示場、大人数を収容できる会議場、ホテル、その他商業施設といった複合施設の設置により、様々なシナジーで観光・地域経済を活性化することにある。世界のスタンダードと比較しても日本の複合施設は圧倒的に不足している状況にあり、IR実施法はこの課題を解決するものとなる。

 2019ラグビーワールドカップ、2020年東京大会等、今後我が国の国際化のスピードは増すばかりである。そのために準備をしっかりと丁寧に進めていく。

バレーボール東日本インカレの応援

バレーボール東日本インカレの応援に。
男女合わせて120校以上が参加。

振り返れば、私がここに立っていたのは20年前。脈々と続く大学バレーの歴史に敬意を表すると同時に、今は視点が少し変化しています。

本大会の運営は、学連と言われる各大学から派遣されている学生たちが行うのは私のいた当時と変わっていません。しかし、近年は大学スポーツに関する負のニュースが溢れかえっている点が違います。今回、大会を見て感じたことは、代々続く学連運営という歴史と、その上に成り立つ学生スポーツは、大学本体から切り離された学生の学生による学生のための主体的課外活動であるが故の素晴らしさと、逆にこの時代においても変化が見られない危うさです。

これまでフォーカスされてこなかった学生のスポーツに対する安全と権利を第一に置き、国内の学生スポーツ全体がどのように進化していくか、その必要に迫られています。

その手段の一つに日本版NCAAによる大学スポーツ運営があります。繰り返しますが、これまで大学スポーツはエコシステム上に成り立ってきました。しかし、時代背景と共に様々な問題が散見され、改革の必要に迫られています。

この学生一人一人の真剣な表情を守るために、しっかりと整備を進める思いを再認識しました。

5月レポート

レインボーパレード

多様性を認め、誰もが公平にチャレンジできる社会を目指していく。これから少子高齢化を迎える日本社会において最も大きなテーマであると認識している。人種、国籍、性別、障がいといった、今なおバリアが存在する社会の中で取り残されてきた人たちが、社会の一員として活躍できる時代になりつつある。その応援の気持ちをもってレインボーパレードに参加してきた。レインボーカラーは、世界共通のアイコンである。レインボーは虹の7色を表すものだが、さまざまな個性や表現を認め合うメッセージが込められている。
スポーツ界で長年活動してきた中で、個人の特性や指向を自由に表現できる環境がなく、思い悩み苦しんだ仲間が潜在的には存在していたのではという考えが私の問題意識であり、この活動を応援している理由でもある。

国会ではこれまで野党発案による差別禁止法という議員立法が審議されたが否決されたという過去がある。一方、与党はLGBT理解増進法として議論し進めている。LGBT関連有識者による勉強会を通じ、個人の多様な性自認、指向があることを知り、まずは社会の中で周知され、合わせて理解がより深まることが必要であると考えている。いずれにせよ、レインボーパレードのようなメッセージを社会に発信しつつ、今の時代背景にあった整備を進めていきたい。

 

南北首脳会談

本年4月末、文在寅大統領と金正恩委員長による歴史的会談が行われた。この会談の実現に向けた両国の動きの中で平昌冬季五輪が大きく影響していたと私は考えている。開会式をみれば南北統一チームによる入場行進、女子アイスホッケーチームにおいては南北合同チームの結成、韓国・北朝鮮それぞれから高官が出席し和やかな閉会式が開かれるなど、至るところに南北融和の姿を目にした。あまりの変貌ぶりに驚いたのは私だけでないだろう。

オリンピック憲章には、五輪大会を政治利用しないという一文がある。オリンピック・パラリンピックは、あくまで、スポーツを通じた国際平和を目指す祭典である。だからこそ、世界中の人々は純粋な気持ちで競技を観ることができる。しかし、平昌大会においては、様々な政治的動きがみられた。具体的には、IOC会長による北朝鮮への働きかけや、南北合同チームの承認など、大会を利用した南北の融和政策が見てとれた。平昌大会をきっかけに、南北の政治の動きが加速したとみられる。

パブリックディプロマシーという言葉がある。市民広報というように、文化による国のメッセージ発信や、国のイメージを扇動することだが、オリンピック・パラリンピックはこのパブリックディプロマシーを実現する最大の社会装置であるともとらえられる。南北選手による和やかな表情をそれぞれの国民が目にすることで、国民感情としても、争いから融和へと近づき、導かれるだろう。

今回、いたるところで五輪の政治利用がニュースになった。当然である。しかし、我々が注視しなければならないのは北朝鮮の今後の動きである。決して紛争が解決したわけではない。隣国の朝鮮半島での動きは我が国の平和と安全にとって、最も重要なテーマであり、今後の展開は全く予想がつかない。各国のリーダーによる駆け引きが熾烈に行われる一方で、国際協調の観点からスポーツ交流やお互いの国を尊重し理解し合う動きは不可欠である。

我が国においても2020年をどのように迎えるのか、外交においても各国のリーダーが一堂に会す絶好のチャンスである。日本が世界の中でどうリーダーシップをとるのか。国際社会の平和と安全を守る切り札となるか、今回の平昌五輪、そして南北首脳会談から学ぶことができた。今後もさまざまな視点をもって2020年東京大会を考えていきたい。

日大アメフト問題

自民党スポーツ立国調査会では、2年ほど前からアメリカの大学スポーツを統括する全米大学体育協会(NCAA)をモデルにし、我が国の大学スポーツを健全かつ教育的価値を高める意味において、日本版NCAAを整備する方向で議論が進んでいる。NCAAの主な機能は、学生スポーツにおける安全管理の徹底、スポーツと学業の健全な両立、学生スポーツ自体のガバナンスが機能した運営などであり、それらを管理するところにある。しかし、これまでの日本国内の大学スポーツは、学生の自主的な活動として、学校本体の外部に位置づけされた課外活動の一環として扱われてきた。当たり前だが体育会と言われる大学スポーツ部もいうなれば組織の一つではある。そのため、組織として、公正なルール、公平な人事、透明性のある会計などは当然求められるはずだが、これまで体育会は伝統やチーム文化と称し、外部から遮断されたブラックボックス化した中で運営が行われてきた傾向が強いと言われている。そのため、昨今はパワハラや、不正な会計といった問題が至る所で顕在化してきた。そしてまさに今、時代に合った大学スポーツの在り方を整備しようとしている矢先にこの日大アメフト問題は発生した。

今回の事案は、大学スポーツの在り方を問われるだけにとどまらず、スポーツの根幹を揺るがす社会問題に発展した。これほど大きな問題となった背景には、選手生命を脅かす悪質な反則であったこと、大学本体の対応が不誠実なものでかつ後手に回ったということがある。 私は、今回の問題の大きな要因は、大学スポーツの歴史の中において、体育会が課外活動として発展してきたが故に、チームにおける責任の所在が不明確となり、チームが外部との接触が限られることで、部長・監督・OBといった特定の個人に運営権が偏り、正常に判断ができない組織となっていった点にあると考える。現代社会の組織において最も重要視されるコンプライアンスが遵守されずガバナンスも欠落していたと言わざるを得ない。

今後国会では日本版NCAAの議論が進んでいく。1964年東京五輪のレガシーの1つとして、大学スポーツはじめ、地域スポーツ、学校スポーツが経済成長と共に発展してきた。今まさに、2020年東京大会のレガシーとして新たなスポーツ文化が醸成され、その一つとして大学スポーツが進展し、学生にとってスポーツが教育の一環として安全に、そして健全に実行されていくことが必要である。また大学本体の運営にとって、スポーツが経営的な強みとなる正規な事業として扱われるよう議論を深めていく。

 

オリパラ関連4法案

1.  2020年7月24日は2020東京オリンピックの開会式が行われる日である。カレンダーに目を移すと、この日は夏休みに入って一回目の週末でもあり、都内の交通渋滞は過去のデータからも相当な混雑が予想される。また開会式においては世界中からVIPが訪れるが、首都圏の各空港から新国立競技場のある都心へのアクセスが困難を極めるだろう。解決策としてオリパラ特措法の一部を改正し、開会式前日の7月23日、当日7月24日、大会が終了し選手・関係者が一斉に帰途につく閉会式の翌日8月10日を祝日とし交通量を減らし対応を図るものである。2020年7月20日の海の日、10月12日の体育の日、8月11日の山の日、それぞれの祝日を2020年度に限って上記へ移動させるものである。また2020東京大会・ラグビーワールドカップ共通の対応として、電波法の特例を設け両大会期間中無線局の電波利用料を減免し、各国のメディア等の負担を減らし、より円滑な競技運営を目指していく。

2.  スポーツ基本法の一部を改正し、「スポーツ」の語を基本的に用いるべく、「国民体育大会」を「国民スポーツ大会」に改め、よりスポーツ文化の醸成を図るものである。合わせて「日本体育協会」は「日本スポーツ協会」と改められる。

3. 国民の祝日に関する法律を改正し、1964年に設けられた「体育の日」を2020年より「スポーツの日」と改め、スポーツを楽しみ、活力ある社会の実現を目指していく。

4. スポーツ界におけるインティグリティ(高潔性、公正性)が求められている中で、スポーツにおけるドーピングの防止活動を推進する法案が提出される予定である。アスリートによる不正はあってはならないし、2020年を契機にスポーツの透明性をしっかりと確保するべく、国としてもドーピング検査員の人材育成や、ドーピングに関する施策を推進統合的に推進するものである。これまで選手個人、競技団体に任されてきたドーピング領域を国もしっかりサポートしていかなくてはならない。

以上、2020年に向け法律の整備を進んでいる。今後さらに、競技場建設、輸送、ボランティアといった、まだまだやるべきことが山積している。

オリンピック開会式まで800日余り。重要なことは国民の理解を得ながら準備を進めることである。2020をオールジャパンで迎えるためにも、本4法案を今国会で成立させ、着実に前進させていく。

 

2020年東京大会開催国枠

5月末、日本バレーボール協会から、ビーチバレーボール競技における2020東京大会日本代表チームの選考基準が発表された。いよいよ2020年へのスタートラインが引かれたわけである。主な選考基準を記すと、出場全24チームのうち、世界オリンピック予選大会から2チーム、2019世界選手権から1チーム、世界ランキング15位以内などは、これまでのオリンピック出場基準と大きく変更はないが、日本には開催国枠が別途1枠保証されている。

1996年のアトランタオリンピックから正式種目となったビーチバレーである。これまで日本チームが出場できた(出場権を獲得)大会は過去6大会のうち男女合わせても3大会にとどまる。いわゆるチーム競技は出場枠が、個人競技よりさらに限定されるため、予選を勝ち抜き出場権を獲得することは年々熾烈さを増している。その中で日本は初めて開催国枠を使い確実に1チームが出場できる。選手にとって、出場権を懸けた戦いは競技人生の中で最大の目標になることだろう。だからこそ競技団体は、開催国枠の選考基準、選考手法は公平性、透明性が求められるのは言うまでもない。

今回、日本バレーボール協会は、開催国枠の日本代表選考大会を開催し、優勝チームに付与することを決定した。つまりオリンピック出場権を懸けた大会が、日本で初めて開催されるわけである。選手はもちろんのこと、スタッフ、ファン、スポンサーなどビーチバレーに関わる多くの人々がその一枠を目指すだろう。競技団体の責任として、協会が決定したこの選考ルールをより正確に、そして誠実に選手、関係者に伝えるべきである。例えば早い段階での説明会などを開き意見交換の場を設け、よりクリアに協会と選手・関係者との意思疎通を図っておくことも有効ではないだろうか。アスリートファーストを考え、2020年大会をよりよいものにするためにも、選手と協会双方の風通しの良い関係性が不可欠である。

「心のバリアフリーで、誰もが輝けるビーチへ」

「心のバリアフリーで、誰もが輝けるビーチへ」

今年もビーチスポーツの仲間と共に、ジャパンビーチゲームズフェスティバル(JBG)2018を開催しました。2014年より、ビーチスポーツの国際大会招致を目指すプロジェクトを全国で続けていますが、その中でも最も大きなイベントがこの東京お台場で開催されるJBGです。これまでのイベントではいくつかのトライをしてきました。2014~15年はさまざまなビーチスポーツを「知る」、2016~17年はトップアスリートのプレーを「観る」、そして2018年の今回はビーチスポーツを「体験する」ことを主たる目的とし、ビーチスポーツアスリートによる技術クリニックや気軽にできる体験会などをプログラムに盛り込みました。

5/3~5/5の3日間にわたり、約6万人の方々にビーチスポーツに触れて頂けました。どの競技も活況で大いに盛り上がりました。その中、世界でも初の試みとなった車いすビーチフラッグは、私も初体験でしたが車いすバスケットボールの根木さんと一緒に競技を体験し、私個人の世界観、価値観に大いに刺激を与えてくれました。

2020年東京大会に向け政府は、心のバリアフリー、ユニバーサルデザイン社会といった障がいの有無に関わらず安心して暮らせる社会創りを強く推進しています。ハード面のバリアフリーといえば、シームレスな交通網の整備、建物の設備のバリアフリー対応などがあります。ビーチにおいては、車いすが移動しやすいスロープの設置、段差の解消等の課題があります。もっとも、ビーチ空間のような賑やかで特に気持ちが高揚した人たちが集まる場においては、コミュニケーションをとりやすい空気が自然に発生します。つまり、ビーチにおいては、ハードよりもソフト、心のバリアフリーが実現されやすい環境といえるのです。実際、前述の車イスビーチフラッグにおいては、障がいを持つ人と健常者の見事なまでの融合が実現し、意識の壁が取り除かれていくことを実感できました。

今回のJBGは、ビーチスポーツで心を通わせ、ビーチから心のバリアフリーが社会全体に浸透していく可能性を感じるものでありました。

また会場は、大勢の人たちで賑わいを見せましたが、外国の方も多くお越しになっていました。しかし、貴重なビーチ資源を外国の方に体験、楽しんでもらうための多言語対応が未整備だった点等、インバウンド対策の課題はまだまだ山積みです。いずれにせよビーチスポーツの国際大会の招致、そして誰もが輝けるビーチ空間は、我が国の成長産業であり、貴重な資源であることを再認識しました。

今国会では、「高齢者・障がい者の方の円滑に移動ができる整備を促進する法律」、いわゆるバリアフリー法が成立しました。今後も観光立国・海洋立国として日本のビーチ資源活用の最大化を目指しつつ、心のバリアフリーを通じ誰もが輝けるビーチ作りに取り組んでまいります。

長男との最後の保育園

年度末の本日は、長男との最後の保育園登園でした。

長女の時から数えると8年間続けた朝の行事。数日前から妙にセンチメンタルになってました。今朝は天気も良くて、心地よい、しかし少し寂しい気持ちだったかな。

振り返ると、妻と共に朝の限られた時間を乗り越えた意味では、ホッとした部分もありますが、来週から小学校新1年生としての日常が始まるので、一息つけるのは今日くらい。

こういう節目に、子供の成長を感じられるのは本当に感慨深いものがあります。

子育てを頑張るご家族に寄り添いながら、そして子供たちが輝ける社会をしっかりと作っていきたいと思う1日となりました。

 

東京マラソンを振り返って

人生6回目のフルマラソン、4時間49分で完走した東京マラソンを思い返してみます。

今回のレースで感じたポイントを4点。

  1. ボランティアスタッフの熟練度
  2. 海外ランナーの拡充
  3. セキュリティの強化
  4. 大盛況なEXPO

 

1.「ボランティアスタッフの熟練度」

出場したすべてのランナーが口にするであろう、ボランティアスタッフの方々への感謝の言葉。

もちろん私もその一人で、レース3日前のゼッケン受付からすでにボランティアスタッフの熱量を大いに感じ、そしてスムーズなオペレーションによってストレスなく準備に入っていけました。ランナーにとって必要とされるサポートは、レース直前の都庁周辺のスムーズなオペレーション(導線等)、コース上の給水や給食、救護、そしてトイレなどが挙げられます。それら各箇所に配置されるボランティアスタッフは常に笑顔でランナーに声をかけ、かつ的確にその役割を担い対応をしてくれます。そのおかげでランナーも安心してレースに集中できます。

このスキルと全体のマネジメントは、回を追うごとにレベルが上がっているように感じますし、ボランティアスタッフの面々も大会参加者の重要な一員として大いに楽しんでいる印象を受けました。2020東京大会でも重要なスタッフとして支えてほしいと思います。

2.「海外ランナーの拡充」

ここ数回のレースで感じていましたが、海外からのランナーが特に増えてきていて、それに合わせて沿道の応援も各国の国旗がはためき、大会に華を添えています。

アジア圏からの参加が多く、特に台湾からのランナーが毎年もっとも多く参加しています。日台の友好は自民党青年局が力を注ぐ外交なので、うれしく思いました。観光立国を標榜する日本です。6大会あるワールドマラソンメジャーズの一つでもあるこの東京マラソンは海外へ向けたインパクトも大きく、東京の名所を周るコース設定は、観光価値において世界でも屈指ではないかと感じています。

このようなメガスポーツイベントをより柔軟に活用し、東京のシティセールスに役立てる策を探りたいと思います。

3.「セキュリティの強化」

今回から選手受付時に顔写真の登録が加えられました。また、前回から個人認証のためのリストバンドを全ランナー、ボランティアスタッフに付与し、参加者の特定をより厳格にし、ランナーの衣装についても被り物のような著しく逸脱するようなウエアが制限されるなど、細かな対策が進んでいます。

コース上には例年通りの警備体制が敷かれていましたが、特段目に留まるような物々しい雰囲気はなくコントロールされていた印象です。

2020大会に向けては、ソフトターゲット警備を目的としたセキュリティの重要性が高まります。様々な視点での警備配置、抑止力の効果を持たせるような全体マネジメントが重要になってくると思います。

 

4.「大盛況なEXPO」

経済指標ではモノの消費が減少している時代と懸念されている昨今ですが、このEXPO会場での消費は、その真逆を行く雰囲気です。

EXPO会場への入場が制限されるなど圧倒的な盛り上がりで、ランニングに留まらずファッション、健康、ライフスタイル等々、様々なサービスが集結することで来場者を興奮させ、消費者へ直接アプローチし消費熱を喚起していました。私もその熱に感化され、レースで使用する腕時計を購入しました(おかげでペース管理が楽しくできました)。

現在の消費情勢は、モノからコトへの流れといった変化、加速度的なECサービスの向上など、実際に商品を手に取って購入するシーンが減ってきています。

しかし東京マラソンEXPOは、大規模イベント型であると同時に、より大勢の消費者を熱狂させるフレーム(出展ブース、デモンストレーション等)があることで、リアルな購入行動が起こることを証明しています。スポーツ産業の視点でも、この熱量と消費者を誘導するスキームは大変参考になると思います。

以上、レース前後で様々な気付きを得ることができました。

 

レース後しばらくは筋肉痛が残りましたが、回復後にはこの経験を公務に活かしていきます。東京マラソンを走り、心身のリフレッシュと合わせて様々な発見をできたことが収穫です。

ボランティアスタッフの方々からの「声掛け」には特に励まされました。「頑張ってください」「お疲れさまでした」がランナー冥利に尽きるコミュニケーションであるのは間違いありません。

そして、ゴール直後にかけてもらった言葉が、「完走おめでとうございます」でした。

この「おめでとうございます」の声掛けでレースがコンプリートできたと心から感じることができました。ボランティアスタッフの方々との交流、この関わりこそがスポーツの一番の目的のように思えた、東京マラソン2018でした。

ランナーの皆さん、ボランティアの皆さん、大会関係者の皆さん、ありがとうございました。2019大会もよろしくお願いします。

「東京マラソン2018へ向けて」

6回目の出走となります。昨年の記録は4時間37分。今回の目標タイムは、4時間30分切り。ちょっと自信のない目標設定ではありますが、ここ数か月の練習量を振り返ると、怪我をせず完走できれば良しという感じです(苦笑)

国会議員として2回目のフルマラソンです。議員になる前は元アスリートとして、引退後のコンディション作り、自身のライフスタイルにスポーツを取り入れることを目的にランニングを始め、東京マラソンのチャレンジを決めました。
このチャレンジは議員になっても継続中。
仕事上、スポーツ政策の観点を持ち、ボランティアスタッフさんの配置や役割、参加者へのインフォメーション、特に安全管理に関しては注意をしながら走っています。
2020東京大会が安全・安心に開催され、国民の皆さん、観客の皆さんが大いに楽しみ、そして何よりアスリートが自分の力を発揮できる場となるように、今まさに準備の真っ只中で、私もその役割の一端を担っています。その点から、3万6千人のランナー、1万人を超えるボランティアスタッフ、100万人を超す沿道での応援を鑑みると、このメガスポーツイベント東京マラソンは、2020へ向けた最も重要な大会でもあり、参考にすべき要素が盛りだくさんです。

前回大会はコースの変更もあり、新ルートの警備状況は、また沿道の状況などに注意を払いながら走っていたのを覚えています。
今回も同様に、セキュリティの状況や、ランナーが安全に走れるようにAIDステーションでのサポート体制をしっかり見てきたいと思います。
開催12回目を迎える本大会は、選手エントリーの手続きや、EXPOの盛り上がりの様子など、年々変化みせています。特に出走直前の都庁周辺はよりスムーズになり、ストレスなくスタートの準備ができるようになってきています。このようなアスリートファーストな大会は、スポーツ産業にとっても良きモデルケースとなってくれると期待しています。

スタートまで、あと2日。
ゼッケンを受け取って、準備万端です。

朝日健太郎

鎮西高校の選手たちは終始笑顔が絶えないチームでした

2018年、新春のお喜びを申し上げます。
議員として2度目の新年を健やかに迎えられました。旧年中は多くの皆様にお支えを頂き、1年間走り抜けることができました。心より感謝申し上げます。また本年は「アクション(行動)」の年にしていきたいと思っています。積極的に汗をかいていく所存です。どうぞよろしくお願い致します。

「鎮西高校の選手たちは終始笑顔が絶えないチームでした。」

お正月から大変うれしい場面に出会うことができました。母校である鎮西高校男子バレーボール部が、高校生バレーの甲子園と言われる「春の高校バレー」で熊本県代表として全国制覇を達成してくれました。チーム、学校関係者、そしてOBのみなさんと一緒にその瞬間を会場で味わえたことで大きな感動を得ることができました。私自身、一つのスポーツ観戦でこれほど大きな喜びに包まれたのは初めてで(ついつい、プレーについて批評しがちで。苦笑)、ついに私もアスリート視点の感覚から、一般的なスポーツファンになれたなと、独り言ちておりました(笑)

バレーボール界新春の風物詩となっている春の高校バレー。大会会場となった東京体育館は連日大入りで、決勝戦のこの日も観客席が満員状態、改めて高校スポーツの人気と、春高バレーファンの多さを感じることができました。

その大歓声の中、熊本県を代表して出場している選手たちは全力で本大会を駆け抜けました。昨年の高校総体優勝チームというプレッシャーがまずありました。そして何より、16年の熊本地震で学校が被災し未だ体育館が使用できない状況であり、練習環境が困難を極める中でも選手たちは努力を怠らず、そして強い信念をもって本大会に臨んでくれたと私は思っています。そしてその勇気が実を結んだ全国優勝であり、これまで鎮西高校バレーボール部を支えてくれた多くの方へ恩返しをしてくれたんだと、この勝利の本当の意味を感じることができました。畑野監督のコメント、そして鍬田主将のインタビューからもその端々が伺えました。

今回の鎮西高校の優勝する姿を目にして、これまでイメージしていたバレーボールを通じた教育的観点を大きく覆させられた気がします。スポーツを通じ、チームワークや忍耐力など様々な学びを得ることは言うまでもありません。その上で鎮西高校は、地震による被災という大変苦しい逆境の中で日本の頂点を極めました。想像でしかありませんが、限られた練習環境の中での効率の良いトレーニング、チームコミュニケーションによる目標設定の維持、そして何より監督の優勝コメントの中に「このピンチをチャンスに変えることができた」まさに、チーム全員が下を向くことなくバレーボールに取り組んだ姿だったと感じます。状況を受け入れ対応する能力、常にポジティブに、そして効率よく成果を積み上げていくなど、これこそ次元の高いスポーツとの向き合い方であり、これからのスポーツに対峙する際の大きなヒントになると私は思いました。
その答えは、大会を通じ「鎮西高校の選手たちは終始笑顔が絶えないチーム」
にあったのではないでしょうか。

鎮西高校バレーボール部の全国優勝に心からお祝いを申し上げるとともに、同郷熊本の皆さんと一緒にこの優勝を分かち合い、復興への活力に繋げていきたいと思います。
畑野監督、選手の皆さん、本当におめでとうございます。

東京の水辺の可能性:クルーズ船の経済効果を高めよう – 1

日本を先導する新たな産業として観光産業への期待は大きく、最近のインバウンドの増加数はまるで新興国のような勢いである。

この勢いを好機として観光ガイドやプリペイドSIMといった需要に対し様々なベンチャーが産業に参入し活況を呈している。

私、朝日健太郎は元ビーチバレーボール日本代表として、国内・国外多数のビーチで活動してきた。また引退後ビーチ・水辺と生活を結びつけて街の魅力を高める活動をライフワークにしている。

参議院議員となった今も海・水辺を経済や教育といった国民的テーマへの大事な入口として考えている私としては、もっとクルーズ船を通じたインバウンドもビジネスチャンスとしてみんな注目して欲しいと思っている。

そこで、昨今のクルーズ市況とビジネスについて投稿したい。

東京のクルーズ船発着地の一つ晴海客船ターミナルと、開発中の東京オリンピック・パラリンピック選手村

クルーズ船を通じたインバウンドの客数は、2015年が111.6万人、2016年は前年比78.5%増の199.2万人と信じられない勢いで伸びている。2016年のインバウンド総数が約2400万人であり、約8%がクルーズ船由来となっている。

—資料—
国土交通省港湾局産業港湾課 2016年の訪日クルーズ旅客数とクルーズ船の寄港実績(速報値)
http://www.mlit.go.jp/report/press/port04_hh_000163.html

日本政府観光局 2016年 過去最高の2,403万9千人
http://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/data_info_listing/pdf/170117_monthly.pdf

国土交通省港湾局産業港湾課 2016年の訪日クルーズ旅客数とクルーズ船の寄港実績(速報値)より

そしてこの勢いは2017年も衰えていない。

「Japan Cruise Report 8月15日号」を見ると、帰港回数で昨年比各月2-3割増を維持している。

—資料—
Japan Cruise Report 8月15日号
http://www.mlit.go.jp/common/001197675.pdf

2015年-2016年の約80%増からすると落ち着いたように見えるが、これは日本のクルーズ船受け入れインフラが不足しているため、需要の取りこぼしが発生しているのが天井を作ってしまっているのが原因の一つとなっている。

世界のクルーズ船は巨大化トレンドにあり、数千人が宿泊し東京タワーより長いといった、高層ビル級のサイズのものが増えている。

そのため対応できる港湾インフラが足りず、岸壁の長さ不足や接岸スケジュールが埋まっていた等で日本寄港を諦めることが増えているのだ。

国と自治体の港湾行政はこの問題に向かいあっていて、例えば東京ではお台場の先の青海地区に新客船埠頭を造成している。

—資料—
Travel Vision 東京都、新客船ターミナルビルの概要発表、22万トン級に対応
http://www.travelvision.jp/news-jpn/detail.php?id=70605

2016年2月 現地空撮

こういったインフラ整備を通じて需要の取りこぼしを無くすことで、また世界の観光需要の増加トレンドを勘案すると、クルーズ船を通じたインバウンド需要は2020年の先まで続く圧倒的な成長産業と言えるだろう。

【東京の水辺の可能性:クルーズ船の経済効果を高めよう – 2】へと続く

注:本投稿のリンクや利用した資料は、2017年8月29日時点で確認したものである。