3月レポート

参議院 国土交通委員会 

3月20日、国土交通委員会において一般質問に立つ機会を得ました。

いつ起きてもおかしくない自然災害に対する「防災・減災対策」、開催まで500日を切った「2020オリパラ大会」やビーチエリアの新たな観光活用、羽田航路、洋上風力発電について質問を構成しました。

以下、要約したものです。

防災・減災対策について

Q. 様々な自然災害リスクに関する知識や心構えを社会で共有し、備える「防災意識社会」へ向けた取り組みが喫緊の課題となっております。その上で政府の首都直下地震を念頭においた「政府業務継続計画」の取り組み状況、そして東京都をはじめとする関係機関との連携が重要と考えますが、その取り組みについてお聞きします。

A 小平内閣府大臣官房審議官

平成26年3月、首都中枢機能の維持を図り、国民生活及び国民経済に及ぼす影響を最小化することを目的とした政府業務継続計画を策定致しました。これを実施するために必要な執行体制、環境等を策定し、その見直し、充実に取り組んでいるところであります。また、東京都を始めとする地方公共団体との連携強化に努めており、実効性の向上を図ってまいります。

Q. 次に港湾の災害対策についてお尋ねを致します。
自然災害発災時に陸上輸送が寸断された場合、代替輸送として海上輸送が有効であります。実際に、昨年の7月豪雨災害時においても海上輸送が有効に機能致しました。こういった首都直下地震や大規模自然災害発生時に東京湾の海上物流機能を不全に陥らせないための取り組みを伺います。

A 下司港湾局長

首都直下地震等の大規模災害発生時でございますが、政府の現地対策本部が東京港の有明に設置され、その指揮の下で川崎港の基幹的広域防災拠点に支援物資を結集し、東京湾内の被災地にある耐震強化岸壁にそれらを海上輸送する体制を構築してございます。その他、バックアップ体制の確保の観点から、日本海側の港湾から首都圏への代替輸送に関する計画も策定してございます。

今後とも、国土交通省としては、これらの取り組みを着実に進めるとともに、災害時における海上輸送を活用した東京湾の物流機能の確保に努めてまいります。

2020オリンピック・パラリンピック東京大会について

Q. 次に2020オリンピック・パラリンピック東京大会について質問をしていきます。
大会期間中は、関係者そしてお客様が約1000万人来場すると言われており、交通渋滞の悪化が懸念されるのは言うまでもありません。東京大会では東京都臨海部に大会関係、関連施設が集中をしており、貨物運送事業者は特に海上周辺の物流に危惧しております。これらの交通マネジメントについてお聞きします。

A 高橋内閣官房内閣審議官

東京都並びに組織委員会と連携致しまして、通勤や物流などの一般交通量を減らして混雑を緩和する交通需要マネジメントを推進してまいります。物流に関しましては、荷主など幅広い関係者のご理解、ご協力を得て、サプライチェーン全体で取り組んでいく必要があると考えています。国土交通省を始め関係省庁と連携して、荷主など関係者との意見交換を行うなど物流の特性を踏まえたきめ細やかな対応を行い、交通需要マネジメントの取り組みを加速してまいります。

Q. 先日の報道で、来年の東京大会では首都高速道路の値上げといった、いわゆる「ロードプライシング案」があり、運送事業者に過度の負担を強いるのではという懸念の声が出ております。
そこでお聞きしますが、ロードプライシングが課せられた場合、貨物運送業者への緩和策や夜間料金割引といった負担軽減策は考えられるのでしょうか。

A 池田道路局長

ロードプライシングにつきましては、首都高速道路の追加対策の選択肢のひとつであります。その検討に当たりましては、委員ご指摘のとおり、物流の車両や一般道への影響も含めて検討する必要があるというふうに考えております。警察など関係機関と連携して、今後具体的な検討に入っていきたいと考えております。

Q. 2020大会からBMXやスケートボードなどのアーバンスポーツが採用されました。また、近年ではオープンスペースや空き地を利用するスポーツも盛り上がりをみせており、大規模な施設を必要としない低コストなスポーツ環境がトレンドになりつつあります。この流れは、これからの都市公園の在り方にヒントがあると考えています。都市公園でのスポーツ利用についての考え方、取り組みをお聞かせ願いたいと思います。

A 青木都市局長

都市公園はスポーツ利用の場として、BMXなどの新しいスポーツも一般の公園利用との調整を図りながら専用施設など設置が進んできているところです。都市公園が様々なスポーツ、レクリエーションなど活動の場になりますように様々な情報提供を行い、施設整備に支援など対応してまいりたいと思っております。

観光立国について

Q. 続きまして観光立国についてお尋ねします。
本年、アメリカで「ワールドビーチゲームズ」と言われるビーチ、そして海域、砂浜、ウォーターフロントを利用するスポーツの国際大会が初めて開催されます。四方を海で囲まれた我が国において、ビーチエリアの観光活用に向けた官公庁の考えをお聞きします。

A 田端観光庁長官

我が国は海岸線も長く、人が集まることのできるビーチも多く存在しています。一方で、夏場の海水浴シーズンを中心とした活用にとどまっておりまして、観光資源としての活用が進んでいないという状況にあると認識しております。観光庁といたしましても、こうした国際大会の例も参考にしながら、ビーチの柔軟な観光活用を進展していけるよう関係地域と連携して取り組んでまいります。

羽田航路について

Q. 横田空域の一部が通過可能となり、新たに都内の住宅密集地域上空を通過する新羽田飛行ルートが計画されているということで、住民からは不安の声が上がっております。地域住民に対し丁寧な説明と対応策が必要と考えますが、いかがでしょうか。

A 蛯名航空局長

オープンハウス型の住民説明会を開催しておりまして、約2万7900人を超える方々にご参加頂くなど丁寧な情報提供を行っております。騒音、落下物対策にも取り組んでおり、必要な手続きを行ったうえで2020東京大会までに新飛行経路を運用できるよう準備を進めてまいります。

洋上風力発電について

Q. 最後に洋上風力発電についてお尋ね致します。洋上風力発電のため、再エネ海域利用法が今年4月から施行されると承知しております。プロセス迅速化に向け、洋上風力発電事業者の早期選定が必要と考えておりますが、どのように取り組んでおられるのかお聞かせください。

A 下司港湾局長

再エネ海域利用法上、事業者を選定するに当たりまして、促進区域を指定した後、公募を実施することになります。法律施行後、速やかに促進区域の指定を行うために各種手続きを踏まえ、地元関係者のご理解が速やかに得られれば年内にも指定ができるのではないかと考えております。公平性に配慮しつつ速やかに進めてまいりたいと考えています。


3月26日に参議委員予算委員会において一般質問に立つ機会を得ました。

いまや国民病とも言える「花粉症」や新たに設立された大学スポーツ協会「UNIVAS」、2020オリパラでの感染症対策、クルーズ船受け入れ、防災・減災対策など幅広いジャンルの質問をしました。

以下、要約したものです。

花粉症について

Q. まず始めに今まさにピークを迎えている花粉症について質問を致します。東京都の調査では、花粉症を抱えている人の割合が50%近く、ここ近年で2.5倍の増加となりまさに国民病となっています。現在の花粉症対策への政府の取り組みはどのような状況か、お聞かせください。

A 牧元林野庁長官

農林水産省で、花粉を大量に発生させる杉人工林の伐採や花粉症対策に資する苗木の生産拡大、また花粉飛散抑制技術の開発など進めています。花粉を全く、もしくはほとんど付けない苗木は現在、杉苗木の年間生産量の4割ぐらい。2032年度までに約7割にまで増やして行くことを目指し取り組んでいるところでございます。

防災・減災対策について

Q. 続きまして、学校施設での災害時対応についてお尋ねを致します。
全国の公立小中学校のうち避難所に指定されている学校は全体の約9割に上ります。これらの学校での日頃からの児童生徒、教職員による防災対応の備え、避難所としての備えはどのように取り組まれているのか、お聞かせください。

A 柴山文科大臣

全国の教育委員会、学校と自治体の防災部局とが平時から連携をとり、備蓄物資の内容、管理方法、あるいは教職員の担うべき役割などについても危機管理マニュアルを作成し明確化するなど、学校における防災機能の充実に取り組んでまいります。

Q. 2016年熊本地震の際、私の母校の校長先生から発災時の状況を教えて頂きました。初動対応並びに避難所運営に大変苦慮されたとおっしゃっていました。教職員へ過度な負担が及ばぬよう考慮して、体育館避難所運営が円滑に行えるための政府の取り組みをお尋ねします。

A 柴山文科大臣

文部科学省は、平成29年に全国の教育委員会に対して、大規模災害時の学校における避難所運営の協力に関する留意事項について通知を発出致しました。その中では学校が避難所になった場合を想定して避難所運営方策を策定することなど求めています。また地域の防災計画を策定している各自治体の防災担当部局と密接に連携をして頂くことが重要だと考えております。

Q. 学校現場における避難所対応のひとつで学校の体育館にもぜひ、エアコン設置を進めて頂きたいと思います。避難生活は長期化する場合も考えられます。地域の防災拠点として学校が有効に機能する意味でも体育館へのエアコン設置を求めたいと思いますがいかがでしょうか。

A 柴山文科大臣

昨年11月7日に成立した平成30年度第1次補正予算においては、熱中症対策として公立小中学校などへのエアコン整備のために所要額を計上するとともに、新たな交付金を創設致しました。ただ小中学校の体育館にもニーズがあることが実態かと思いますので、エアコンを地方単独事業で整備する場合の制度についても地方自治体に周知していきたいと考えております。

2020オリンピック・パラリンピック東京大会について

Q. 続きまして2020東京大会についてお尋ねを致します。
昨年から我が国でも風疹が猛威を振るっています。2018年には2917人の感染者の報告がありました。平成30年度第二次補正予算でも風疹に関する追加的対策を手当てして頂いておりますが、2020東京大会開催まで500日を切っている中、厚生労働省の具体的な風疹対策の取り組みをお聞かせください。

A 宇都宮健康局長

昨年12月、風疹に関する追加的対策を取りまとめて、風疹の抗体保有率が低い1962年4月2日〜1979年4月1日までの間に生まれた男性を対象にした抗体検査と予防接種法に基づく定期接種を全国で実施することを決定いたしました。居住地の市区町村以外にも、職場の定期健診や医療機関等で検査、予防摂取が受けることなど、全国で事業が円滑に実施されますよう支援してまいります。

Q. また、麻疹(はしか)の流行も問題になっています。
国立感染症研究所の発表によれば、今年3月13日時点で304人の患者が発生と2009年以降で最多のペースに。さらに梅毒も国内で感染が増加しており、本年3月時点で1100人以上の発生が報告されています。2020東京大会に向けて、風疹、麻疹、梅毒も含めた感染症対策についてお聞かせください。

A 櫻田オリパラ担当大臣

政府と致しましては、東京大会の安全、安心の確保のために、海外における感染症の発生動向を踏まえた検疫体制の整備、また国内で発生した感染症に関するサーベイランス機能の強化を進めてきたところでございます。

今後、感染症対策の一層の強化を図るべく、政府一丸となって対策を進めてまいります。

Q. 続いてたばこのないオリパラ大会についてお聞きしていきます。
昨年7月に健康増進法が改正され、我が国でも受動喫煙対策が強化されました。先月28日には、オリパラ大会組織委員会から、「東京2020大会」では競技会場の敷地内は例外なく完全禁煙にする内容の禁煙方針が発表されました。私はこうしたたばこのないオリンピック、パラリンピックの精神を2020年以降も残していくために、文部科学大臣からスポーツ界に働きかけて頂きたいと考えておりますが、今後の対応についてお聞かせください。

A 柴山文科大臣

まさしく東京大会のレガシーとして2020年以降も対策を徹底していくことが必要であると考えております。また、スポーツ基本法において、スポーツが国民の生涯にわたる健全な心と体を培い、豊かな人間性を育む基礎となるものと規定されていることも踏まえ、子供達の模範となるよう、受動喫煙防止対策を率先して進めることについて働きかけてまいりたいと考えております。

観光立国について

Q. 続いて観光立国について質問を致します。
インバウンド、特に訪日クルーズ旅客についてですが、最近、クルーズ船で日本を訪れる外国人観光客も多くなっており、北は北海道から南は沖縄まで、まさに全国津々浦々の寄港地がにぎわっています。政府は、「2020年に訪日クルーズ旅客を500万人」という目標を掲げており、この目標の達成に向けて日本のクルーズの魅力をさらに高めていくことが重要だと考えておりますが、国土交通省ではどのような取り組みを進めておられるのか、お聞きいたします。

A 下司港湾局長

各船会社は2020年には東アジア地域への配給を増加させる計画を有してございます。こうした中、国土交通省ではクルーズ船の受け入れ環境の整備を進めているほか、本年4月からは大手外国クルーズ船社が、複数の港湾において体験型観光を核とした新たなツアーの実施を計画しております。

国土交通省といたしましては引き続き、こうしたハード、ソフト一体となった受け入れ環境の整備を進め、クルーズの更なる振興に努めてまいります。

Q. 外国人富裕層などが個人所有する全長24m以上の大型クルーザーは、「スーパーヨット」「メガヨット」と呼ばれています。その隻数は2018年で1万隻近くあり、2007年から11年間で2倍以上に増えております。そういった中、我が国の港湾におけるスーパーヨットの受け入れ環境はいまだ未整備であると、私は従来から問題意識を持っております。このスーパーヨットは寄港地へ高い経済効果が期待できます。この受け入れ拡大を進めるべきだと考えていますが、それについてのお考えと今後の取り組みをお聞きしたいと思います。もう一問、海洋レジャーについてお聞きしていきます。

A 阿達国交政務官

ご指摘の通り、「スーパーヨット」寄港による経済効果は高く、富裕層向けの新たな市場開拓、地域での消費拡大が期待されます。一方、長期滞在するための係留場所の確保などの課題があると認識しております。課題解決に向けて、本年3月8日に「スーパーヨット」の受入拡大に関する関係省庁連絡調整会議を設置しました。今後、議論を踏まえつつ受入拡大を推進してまいりたいと考えております。

大学スポーツ協会「UNIVAS」について

Q. 本年3月1日から、大学スポーツ協会「UNIVAS」がスタートしました。この「UNIVAS」には大学本体と、競技を束ねてきた学生主体の学生連盟が混同した形で加盟をしています。この場合、それぞれの目的、方向性の統一が重要であります。ここはしっかり「UNIVAS」の機能を整備し、大学の経営資源のひとつとして大学スポーツが寄与でき、かつ学生もスポーツを通じ成長できる環境を目指すべきだと考えますが、今後の取組と目指す姿をお聞かせください。

A 柴山文科大臣

大学と競技団体の混在ということで、いろいろと理念あるいはベクトル等の調整も必要になるわけですけれども、「UNIVAS」が大学や競技団体の競技、調整のためのプラットフォームの役割を果たしていくことによって議論を深めていく必要があるのではないかと考えております。

洋上風力発電について

Q. 港湾政策について最後質問を致します。
先週の参議院国土交通委員会において、洋上風力発電の導入促進のために必要な事業者選定の迅速化に関する質問をさせて頂きました。港湾局長から、促進区域の指定や事業者選定のプロセス迅速化に向けた国土交通省の取り組みについてご説明を頂きました。洋上風力発電の導入促進に不可欠な基地となる港湾についてどのような取り組みをされるか、お聞かせください。

A 下司港湾局長

現在、国土交通省及び経済産業省では、促進区域の指定を行うための準備として、都道府県からの情報提供の受付を開始したところであります。洋上風力発電事業が全国レベルで多数展開されると想定されておりますことから、既存の港湾施設を最大限活用しつつ、効率的な機能強化を図ってまいりたいと考えております。