国土交通委員会 バリアフリー法案改正質疑

参議院国土交通委員会で、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)の一部を改正する法律案」の質疑に立ちました。
ハード・ソフト両面でのバリアフリー化、共生社会の実現は、私の政策テーマの中心であり、本法案が5月13日の本会議において可決されたことを大変嬉しく思います。
どのような状況にあっても、自由に移動する権利は誰でも有していますし、社会参画を考えたとき、移動の円滑化は大変重要なテーマでもあります。
今回の改正案では特に『心のバリアフリー』に重点がおかれています。
ハード面の基準は数値化し整備を進められますが、社会における相互理解、支え合いといった部分をルールで縛ることは困難です。そうした意味において教育の中で体験を通じた理解や民間事業者における自助努力など、できるところからバリアフリーの取り組みを進めていけるよう、さらに努力してまいります。

以下、要約したものです。

バリアフリー法の一部を改正する法律案について

Q.本法案は特に心のバリアフリーの進展に向けた施策が多く盛り込まれており、あらゆる人が自分らしく社会へ参画できるようになるために必要な措置を整備するものだという認識をしている。さらに「東京2020大会」は、我が国が成熟国家としてこの共生社会モデルを世界へ示す絶好の機会だと考えているが、この本法案に対する赤羽大臣の認識は?

A.赤羽一嘉 国土交通大臣 
このバリアフリーのことにつきましては、2000年の「交通バリアフリー法」という法制で政治としてはスタートをした。法律を作り、予算を計上しながら、啓蒙して世の中の通念を変えていく、バリアフリー、ユニバーサルデザインの在り方が当たり前の世の中にしていくということ。しかし、これはある意味で終わりというのがない、終点がないような大変長い道程であり、この大きな取組については不断の改善が必要。
「東京2020大会」は、ある意味では心の豊かさをスタートしなければいけない大会になる。そのレガシーという意味で、真の共生社会、ユニバーサルデザインの社会づくりというのを本格化しなければいけない。世界中のパラリンピアンを受け入れるにふさわしい、恥ずかしくない国として、財源もしっかりと、与野党を超えて、国会としてこの共生社会を作り上げることを国の目標として進めていきたい。

「共生社会ホストタウン」事業について

Q.「東京2020大会」の開催において、オリンピックアスリートを迎えるホストタウン事業とは別に、パラリンピックアスリートを迎え入れる各自治体が独自のバリアフリー化に向けた取組をする「共生社会ホストタウン」事業が非常に重要だと思っている。大会が延期になったが、引き続き来年の競技大会に向けた支援と、大会後のこの共生社会が全国隅々までレガシーとして残るように政府としての後押しが必要だと思うが、その取組は?

A .鶴田浩久 内閣官房内閣審議官
「共生社会ホストタウン」は、大会に参加する選手の受入れをきっかけに、日本全国でユニバーサルデザインのまちづくりと心のバリアフリーに取り組む自治体を支援する制度で、これまでに88件登録されている。大会の延期については受入れの準備期間が増えたと前向きに捉える自治体もあり、内閣官房としては、共生社会ホストタウンの更なる拡大を図っていく。登録した自治体に対しては、先進的な取組への支援、関係省庁の支援メニューの活用促進を行っていて、来年に向けて引き続き最大限の支援をしていく。

「パーキングパーミット制度」について

Q .全国では「パーキングパーミット制度」という、車椅子利用者、妊婦の方など支援の必要な方に対し、利用許可証、車椅子駐車場の利用許可証というものを発行して、相互理解が進むような取組を行なっている自治体が多い。今後こういったシステムを我が国で推進していくべきだと考えているが、政府の考えは?

A .蒲生篤実 総合政策局長
この制度の導入促進に向けて、平成30年度に「パーキングパーミット制度」の事例集を作成し、自治体における取組の周知を図っている。国土交通省としては、今回の法改正の趣旨を地方公共団体、施設管理者等に広く周知するとともに、引き続き「パーキングパーミット制度」の周知、普及に努め、障がい者等が障がい者用駐車区画を利用しやすい環境の整備を推進していく。

無電柱化について

Q.バリアフリーの観点でも無電柱化というのは大変有効だと思うが、政府の考えは?

A.池田豊人 道路局長 
無電柱化の推進に関する法律に基づいて、平成30年度に無電柱化推進計画を策定しており、その中で重点的に無電柱化を進める対象道路を定めた。この対象道路として、「高齢者、障害者等の移動の円滑化の促進に関する法律」に基づく特定道路も対象道路に位置付けている。また、2018年度よりは、歩行者の安全かつ円滑な通行を図ることを目的として、歩道幅員が著しく狭い歩道につきまして新設電柱の占用制限を措置している。今後、市町村が定める移動等円滑化促進方針や基本構想が策定、更新、行われることになると思うがが、特定道路の無電柱化がこれに盛り込まれるように改めて地方公共団体に働きかけていく。

障がい者スポーツの推進について

Q.心のバリアフリーを進めていく上で課題と言われている社会的要因の中に、障がいのある方と接する機会がないことによってなかなか理解が進まない、情報が不足しているという課題が挙げられている。そうした課題を解決する手段の一つに、「障がい者スポーツ」というものがより一般の方々の生活に身近にあることも一つの解決手段になるのではと思っている。この「障がい者スポーツ」を更に整備そして推進していくことが重要だと考えるが、政府の取組、見解は?

A.藤江陽子 スポーツ庁審議官
スポーツ庁では、障がい者が身近な場所でスポーツが実施できる環境を整えるとともに、障がい者スポーツ団体自身の体制整備の支援や、次世代アスリートの発掘、育成などの戦略的な強化など、パラリンピック競技についてもオリンピック競技と一体的な支援を行っている。これらの取組を通じて、障がい者スポーツに対する社会の認知、関心を高めることなど、障がい者スポーツを取り巻く社会環境全体の改善、共生社会の実現に努めていく。

Q.車椅子バスケットでは、タイヤ痕が付くとかの理由から公共施設を利用させてもらえないなど、障がい者スポーツには様々な課題がある。このような現場での運用面において、ガイドラインを設けるなど、障がい者スポーツに関わられる方がより自然に自由にアクセスできる環境の整備が必要だと思うが、ご意見を頂きたい。

A.藤江陽子 スポーツ庁審議官
スポーツ庁としては、地方公共団体と連携し、先進事例の情報提供を行うことで施設管理者等の関係者の理解促進を図っている。また、地方公共団体に対して、学校施設環境改善交付金やスポーツ振興くじなどによりスポーツ施設の改築等の支援を行っており、バリアフリー化等に必要な経費も対象としている。引き続き、これらの取組を通じて障がい者がスポーツをより円滑に実施できるよう、環境の整備に努めていく。