循環経済を国家戦略に

自民党の「環境・温暖化対策調査会」(会長:井上信治衆議院議員)は環境政策全般を扱う会議体として日々議論を深めています。

昨年は熱中症対策を強化するため、気候変動適応法の改正に向け議論を行い、令和5年4月に国会で改正。そして本年4月に施行されました。

私も以前、本調査会にサーキュラーエコノミープロジェクトチームを立ち上げ、その座長として、資源循環の今後の在り方、事業者の取り組みや新しい技術の共有、政府からのヒアリングなどを通じ議論してきました。

そして今国会では環境省から廃棄物の資源化事業を高度化する法案が提出し、資源循環型社会の実現に向けた取り組みを加速させています。

この法案の背景には、本調査会から政府への提言があります。

調査会でとりまとめた内容は、日本の産業構造への大局的な視座からの提言であり、各産業、業界、また人々のライフスタイルにおいても将来像を示すものです。

まさに、循環経済が日本の成長戦略として期待される時代が目前に迫ってきています。

ここでは、今回の提言内容のポイントを紹介し、今後我が国が向かう循環経済社会の方向性を共有しておきたいと思います。

提言ポイント

資源循環社会へ向けた方向性・考え方

 資源の価値を可能な限り循環的に利用し、加えて廃棄物を資源化して再利用することで、天然資源利用を最小化。結果、カーボンニュートラルやネイチャーポジティブに貢献し、循環経済を日本経済成長の機会と捉え、国民の豊かな暮らしを実現してゆく。

Ⅰ.循環経済による産業競争力強化と経済安全保障の確保

・資源循環のための事業者間の連携強化や、再資源化工程を高度化し、3R(リユース・リデュース・リサイクル)をより発展させて新たな成長産業分野へ推進。

・プラスチックや金属などの再生材の効率的・安定的な供給体制に向けた予算の確保。

・使用済み太陽光パネルのリユース・リサイクル強化。

・国際資源循環体制を強化し、資源循環の領域において日本のプレゼンスを向上。

 

Ⅱ.資源循環にも資する豊かな地域やくらしの実現

・さらなるサステナブルファッションの実現を目指す。廃棄する衣類の量を減らすと同時に、供給量を適正化させるための情報開示や、リペア・リユース・リサイクルのルールづくりを推進させる。

・食品ロス半減を目指し、フードドライブや飲食店での持ち帰りのガイドライン示し、日々の身近な暮らしから実践していく。

Ⅲ.国際ルールの形成と国内マーケットの創出

・資源循環分野における情報開示の国際基準を含む「グローバル循環プロトコル」の開発に向け取り組みを進めていく。

・国内ではグリーン購入法のすべての対象品目に再生プラスチック利用率などの循環性基準を導入していく。

Ⅳ.循環経済を国家戦略に

・政府全体で戦略的・統合的に取り組みを進めるため、従来の資源循環の基本計画や新しい資本主義のグランドデザインに資源循環を取り込み、国家戦略として進めていく。

以上が、環境・温暖化対策調査会から出された提言のポイントとなります。気候変動による地球温暖化への対策は、政府、地域、国民一人ひとりが取り組まねばならない課題です。本提言をもとに、政策の実現に向け一つ一つ取り組んでいきます。